ストーリーでぐんぐん読ませる小説ではないので、読んでいて眠くなります。なかなか一気に通読できません。でも、この小説が誘発する眠気は大変上等な眠気だと思う。枕元に置いて、毎日少しずつ読むと、じわじわ効いてくる。そういう小説ですね。(p.195)と語っていますが、翻訳修行中のわたしにとっては眠気というよりも強風に立ち向かいながらじわりじわりと歩く感じの翻訳作業でした。はあ。
そもそもこの作品の原文はイタリア語で書かれていて、それを英訳した文章をさらに日本語に訳す作業だったので、もしかするとそんな翻訳文特有の難しさもあったのでしょうか。日本語で書かれていても翻訳文学はなんだか読みにくい、そんな感じが英語でもあるのかなと思ったり。
ともあれ内容はというと、新しい土地で見かける人みんながこれまで知っている人、それも死んだ人にみえて、ついにはここってあの世?自分も死んだのだろうか?、と主人公が思い始めるという暗い内容です。ついこの間『ロード・オブ・ザ・リング』を観たわたしの脳内には、かなりリアルにCGの幽霊だとか、霧におおわれた暗い水辺が思い浮かびました。
でもって、翻訳ってやっぱりただ英文を読むよりもずっと深く文章の世界にはいれるなあということ、そして独特の翻訳モードというか、英文を見ると自動的に日本文を紡ごうとする感じ、がちょっとつかめてきた感があります。
そしてわたしの場合、この「翻訳モード」は英英モードというか、英語で英語を理解する感じとは相容れないらしく、最近どんどん英語のリスニング力が落ちてきたような気がしますが特に生活上支障はないので気にしないことにします。
英語の勉強といっても、いろいろありますね、ほんと。
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