
この週末は、三浦しをん著『舟を編む
知ってるようで知らないことも多い母国語、日本語を慈しむ愛すべき人々が、念願の辞書『大渡海』を完成させるラストは、時間との戦いでもあって、完全に応援モードな読書に。
それにしてもこの小説はまず、タイトルが素敵。
「辞書は、言葉の海を渡る舟だ」言葉は海、辞書は舟。このメタファーだけでもう、かなり胸キュンです。
魂の根幹を吐露する思いで、荒木は告げた。「ひとは辞書という舟に乗り、暗い海面に浮かびあがる小さな光を集める。もっともふさわしい言葉で、正確に、思いをだれかに届けるために。もし辞書がなかったら、俺たちは茫漠とした大海原をまえにたたずむほかないだろう」
「海を渡るにふさわしい舟を編む」
松本先生が静かに言った。「その思いをこめて、荒木君とわたしとで名づけました」(p.27)
この小説は架空の日本語辞書『大渡海』を編む物語なので、言葉の海を想像するのに、はじめは日本語のことしか考えずに読んでましたが、途中から、あれ、思いを伝えるのが外国語を話す人だったら?と想像しはじめ、海には日本海だけでなく太平洋とか大西洋があるように、外国語の場合は違う地域の(でも一応はつながってる)海?と思ったり、いいや、言語が違うと辞書が違う、つまりは舟が違うだけで、言葉の海は何語であろうが、言葉の海(the sea of languages)なのかも、と思ったり、いまだ考え中。
ただいえるのは、外国語を学び使いこなすには、辞書はかけがえのない大切な存在であること。辞書のつくられ方は辞書によって異なるでしょうが、昔から当たり前のように存在していたかにも思われる辞書たちにも、それをつくった人たちがいて、例えばこの小説の主人公の馬締(まじめ)くんのような愛すべき人物の情熱が込められているかもしれない。そんなことを想像してみると、今使ってる辞書がこれまでよりもずっと愛おしくなるかもしれません。
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