2014年4月11日金曜日

リチャード・ブローティガン『太平洋のラジオ火事のこと』を和訳してみた。tried to translate "Pacific Radio Fire" by Richard Brautigan into Japanese.

アリの非業の死の物語の次の課題は、リチャード・ブローティガンによる、傷心と海と燃えるラジオのお話でした。基本的にごくありふれた単語しか出て来ないのですが、そういう場合は日本語にも対応する言葉がたくさんあったり、そもそもシュールというか幻想的というか、日常的な非日常、柴田先生いわく「ポップな非リアリズム」な文章なため、何が起こっているのか見極めるのが結構難しかったです。知ってるつもりの単語が並んでても、句動詞になってたり、クリシェ(決まり文句)になってたり、意外な意味になることもあるわけで、油断大敵。

といってもすごく好きな文章で、訳すのも楽しかったです。そして柴田先生が絶賛する藤本和子さんの訳も紹介されていて、その訳がほんとすばらしい。わたしの中ではこれまで、柴田先生の訳がベストだったのですが、リチャード・ブローティガンのこの文章については、藤本和子さん訳のほうが好みとなりました(『翻訳教室』では、生徒の訳例と、藤本和子さんの訳と、柴田先生訳を比べ読みすることができます)。

そんなわけで、リチャード・ブローティガンの代表作『アメリカの鱒釣り (新潮文庫)』(もちろん、藤本和子さん訳)を衝動買い。60年代のヒッピーなアメリカを想像つつちびちびと読んでます。読み終える頃にはわたしの中のアメリカのイメージが変わるかもしれない、そんな気がする読書です。

と、「アメリカ」を意識させるのもブローティガン作品の特徴なのかもしれません。『太平洋のラジオ火事のこと』ではアメリカのホコリ(誇りではなく、埃です)についてまで考えさせられましたし、『アメリカの鱒釣り』はタイトルにまで「アメリカ」が入ってます。

そもそもわたしにとっての「アメリカ」って、10代では『赤毛のアン』『大草原の小さな家』、20代はポール・オースター、30代はヘミングウェイ。40代はhuluでたっぷりドラマは観てるものの、文学からすると知ってるようで知らない国だなあ、ということに気がつきました。

ってことは、もしかするとすごおく気の合う作家さんを見つけられる可能性も多々あるわけで。というのが、英語や翻訳を勉強するモティベーションになってます。翻訳ってほんと、深く物語の中にダイブするのにいい方法ですね。

REVENGE OF LAWN

芝生の復讐 (新潮文庫)

アメリカの鱒釣り (新潮文庫)

Trout Fishing in America

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