2014年12月24日水曜日

Lang-8で日英翻訳のレッスン

英日翻訳でいろいろな文章を読み書きするようになってからというもの「日本語って難しい」と思うことが本当によくあります。またgengoの日英翻訳の試験にチャレンジしてみたこともあるにはあるのですが、一次試験には通ったものの、2次試験はもう難しすぎて全く歯が立ちません。時間がいくらあっても訳せない自分に呆然としました。

でも例えば自分の書いた文章だったら、書いた自分は少なくとも何を言いたかったのかわかってるわけだし、他の人の文章を訳すより簡単かも?と思いつき、先日、このブログに書いた記事「働きながら学ぶ Learn while Working」の英訳に挑戦しましたが、まあ大変でした。

そもそも日英翻訳には自信がないので、少しずつ文章を区切っては英語に訳し、Lang-8で添削してもらい、という風に作業を進めてみたところ、たった1316文字を訳すのになんと約4日もかかりました。

で、添削してもらった文章をつなげた英文がこちらです。これにさらに添削をして下さった方が現在のところお二方。ありがたいことです。

ところで、日英翻訳をする立場でこのブログの文章を読み直してみるのはなかなか新鮮でした。いつも考えながらだらだらと書いているので、文章は妙に長く、文法構造もいったいどうなっているのやら。結論は終わりのほうにあるようなないような。正直訳していて、「これって訳す価値、ないのでは?」「書き直したい!」という衝動に駆られましたが、これも練習と思い、なんとか最後まで訳しました。

といっても、今の私では細かなニュアンスまで英語に訳すのは無理!とあきらめて、ざくっと簡単な英語表現に置き換えたところが何カ所もあります。例えば、「言葉を紡ぐ」って英語ではどういうんだろう?と気になったのですが、単に「書く」="write"で済ませてしまいました。こういう気になった部分を自分でも調べたり、Lang-8で質問したりすれば、細やかな英訳ができあがるかもしれませんし、何より勉強になりそうです

また、Lang-8をもっと活用するには、このブログの原文(だらだらカジュアルな日本語)をそのまま載せるのではなくて、日本語を勉強中の方にもわかりやすいような、英語に訳しやすいような日本語に置き換えるという方法もあるなあ、と今回気づきました。が、しばらくはあえてそれはしないでおこうと思っています。

2014年12月14日日曜日

働きながら学ぶ Learn while Working



今年の初めは「語学を仕事に繋げるにはどうしたらいいんだろう?」 と悶々と考えていました。

例えば、いつかは翻訳を仕事にするとして、そのためにはきっと少なくとも、
  1. 翻訳講座を受講する (スキルを上げつつ人脈をつくる)
  2. 翻訳会社 (エージェンシー) の試験 (トライアル) を受ける。合格したらそこで見習い的な仕事を始める。
という2段階が必要で、そのためには数年はかかるんじゃないかしらん? でもあれ、県内には翻訳の学校なんて見つからない。学校とエージェンシーがセットになった企業が理想だけど、ん、それだと東京か大阪か京都に行かないとだめ? ってことは、その前に他の仕事で上京と通学費用を稼ぐ必要が…。困ったなあ、ダメ元でもうトライアルを受けてみようかしら? でも専門分野も決まってないし、どうしたものか…。

と悩んでいた時に、たまたまgengoという翻訳エージェンシーのことを知りました。で、サイトをなんとなく見ていたら、"work+learn"というキャッチコピーがぐっと心に入ってきたので、軽い気持ちで受験。2回の試験を経てスタンダード (standard)」レベルの試験に合格! というのは今年6月の話で、以来この半年間はせっせと翻訳のお仕事をこなしました。

gengoによれば、この半年に私が訳した英単語の数は8万5000語以上。制限時間内に訳す必要があるので、ぎゅっと集中しながら英語を読み、同時に日本語を作文し、わからない言葉が出てきたら調べまくる、という感じです。通訳ほどではありませんが、英語を見たら、日本語を素早く紡ぐ瞬発力が鍛えられました。

幸い、英日翻訳の需要は高いようで、ジャンルを選ばなければかなりのお仕事があります。が、翻訳ばかりしてると、お仕事の原文である英語と、自分が書いた日本語ばかり読むことになり、我ながら精度というか、自分が書く日本語が変になってきたかも? と心配になることも。ただ仕事をこなすだけでは「翻訳の勉強」にはならないようだと実感したのは、つい一ヶ月ほど前のこと。

「働きながら学ぶ」ことの長所は、いろいろありますが、まずは在宅翻訳の現場を体験できたのがよかったです。どんな依頼があり、依頼する人々や企業、翻訳エージェンシーが何を求めてるのかが少しだけわかりました。また、自分のバックグラウンドが活かせる分野が何で、訳してて楽しい分野が何か、ということもなんとなくつかめました。

そして何よりもお金が入ってくるおかげで、翻訳の道具である「辞書」をある程度揃えられたのもよかったです。でも辞書は大切ですが、辞書さえあればよい翻訳ができるわけではないので、最終的には通信講座でもいいから翻訳講座を受講しようと計画中。

というわけで、結局、上に書いた2つのこと、1)翻訳講座受講と、2)トライアル挑戦は来年の課題です。ただ今年の締めくくりとして!?先日、gengoのプロレベル試験を受験しました。合格するにはノーミス、誤訳は一カ所あってもいけないそうです。結果がでるのは年末から年明けにかけて。さてさてどうなることやら。

2014年6月8日日曜日

Lang-8で英作文と仏作文、日本語の添削 English and French compositions, and Japanese corrections on Lang-8



Duolingoで鍛えられるのは語学の翻訳力と瞬発力のようなもの。その言語の基礎的な語彙と文法が学べます。が、語学の4つの基本要素、読む、書く、話す、聴くのうち、「書く」と「話す」の自発性というか、その人らしく言葉を組み合わせる部分までは対応できていません。

自分で書いた文章の正しさをチェックしてくれるサービスには、英文だと例えば、Gingerなどの機械翻訳ならぬ、機械的校正サービスがあります。Gingerは文法だけでなく、前後の文脈から判断して、ミスがないようにしてくれるそうですが、その結果が本当に英文として自然な文章なのかは微妙。また、文章を直してもらっても、どうしてそう直したほうがよいのか理由がよくわからないことがあります。

英文や仏文を書く練習をするには、独学とは別に誰かにチェックしてもらったほうがいいかな、と思い始めたところ、Lang-8という相互添削サイトを見つけました。日本語学習中のユーザーの文章を添削するとポイントがもらえ、ポイントがたまるほど、自分が投稿した外国語の文章(無料アカウントでは二カ国語まで)が目立ち、添削してもらいやすくなる、という仕組み。

他にも(添削してくれて)ありがとうポイントとか、ナイスな添削ポイントとか、要は、1.たくさん添削した人、2.添削スキルが高い人、3.感じがいい人、ほど、自分が書いて投稿した文章を添削してもらいやすくなります。ちなみに、添削できるのは、自分の母国語のみ。

というわけで、じゃあせっせと添削しよう♪と、とにかくやってみました。昨日一日で、英語ネイティブ、中国語ネイティブ、クメール語ネイティブ、イタリア語ネイティブ、ドイツ語ネイティブ、ロシア語ネイティブの人の日本語を添削。いろいろな内容の文章が読めて面白かったですが、これだけやるとかなり時間がかかりました。

そして母国語ながら、日本語の正しさの判断は結構微妙な問題というか、論理的に説明するのは難しいことが多いなと気づきました。わたしは日本語の先生ではなくて、単なる日本語ネイティブ。かなり感覚的な添削となります。

自分の添削スキルが低いと「ナイスな添削ポイント」はたまりにくいかもしれませんが、それはそれでいい経験。添削してもらう上での期待値というか、先生ではないけどネイティブな人にはどこまで出来るのか、を感覚的につかめたような気がします。それに、同じ文章を他の人も添削してくれる可能性があるので、そんなに気負わなくても大丈夫なよう。

英作文と仏作文のほうはというと、ごく簡単で短い自己紹介程度のものを3つアップしたところ、その日のうちに添削してもらえて有り難かったです。でも正直、日本語の添削を次々こなしつつ、英語やフランス語でなにか発信しようという気持ちにはあまりなりません。

ちなみに、とにかく自分の文章を添削してほしい!という人のためには、有料のプレミアムサービスもあります(月7ドル)。プレミアム会員になると、自分の投稿が優先的に表示されて目立つようになる他、広告表示がなくなるなどの特典があるそう。

とまあ、アカウント作ってから二日目、まともに使ったのはたった一日の体験ですが、Lang-8、なかなかよさそうな感じです。Duolingoと組み合わせると語学力アップに相当効き目のあるサービスかもしれません。


Lang-8の紹介動画(音声は英語)です。

2014年5月29日木曜日

フランス語と英語の定冠詞 Definite Articles in French and English

デュオリンゴ(Duolingo)を始めて、今日で31日目。当初はちょっとした置き換えパズルみたいな感覚だった仏英翻訳ですが、今ではこの二つの言語の違いをしみじみと感じるようになりました。

特に気になるのが定冠詞(definite articles)で、英語の"the"に対応する言葉がフランス語では実に4種類("le"、"la"、"l'"、"les")もあって、その使い分けに苦心する一方、どうやら定冠詞を使う場合というのは、英語よりフランス語の方が多い、ということが分かって来ました。つまり、仏英翻訳においては、定冠詞"le"と"la"と"l'"と"les"のいずれかを見かけたらとにかく"the"に置き換える、という方法ではだめで、仏文で定冠詞があっても、英文では使わない場合がかなりあります。

とまあ、デュオリンゴ式にとにかく実践でその違いを肌で感じていたところ、ある例文についての議論でも同じようなことが話題にのぼっていて、そこで引用されていたのが、About.comの次の文章。フランス語で定冠詞を使う場合が、英語と比較しつつ、表で分かりやすく解説されています。読んでみて頭がかなりすっきりしました。
French Definite Articles - About.com
ざっくり言うと、英語とフランス語、両者に共通して定冠詞を使うのは、特定の名詞(specific noun)、すなわち何を指しているかが相手にすぐわかる特定のものを指す場合。例えば、「私は銀行に行きます。」は、フランス語で

Je vais à la banque.

英語では、

I'm going to the bank.

となります。この場合の銀行(仏 banque、英 bank)は話者と聞き手、双方が知ってる銀行。

それに対して、フランス語では定冠詞をつけるのに、英語だとつけない場合というのは、名詞が一般的な意味で用いられる(used in a generic sense)場合。例えば、「私はアイスクリームとチョコレートとケーキが好きです。」は、フランス語で

J'aime la glace, le chocolat, et le gâteau.

英語では、

I like ice cream, chocolate, and cake.

となります。どんだけ甘いものが好きなの!?とつっこみたくなる例文ですが、それはさておき、もちろんここでの、アイスクリーム(仏 glace, 英 ice cream)、チョコレート(仏 chocolat, 英 chocolate)、ケーキ(仏 gâteau, 英 cake)はそれぞれ一般的なものを指します。なんだか英語の方が、定冠詞がある場合とない場合の区別がすっきりしてわかりやすい気が。

他にも、集団あるいは集合をあらわす名詞(groups of people or things)については、フランス語と英語で定冠詞の用法がことなります。例をあげると、「わたしは猫と犬が好きです。」は、まずフランス語で、

J'aime les chats et les chiens.

英語では、

I like cats and dogs.

となるそうです。ここでの猫(仏 chat, 英 cat)と犬(仏 chien, 英 dog)は見知らぬ猫や犬も含む猫全体、犬全体を指すと思われます。

とすると、フランス語では、特定の猫の集団と、一般的な猫の集団は同じく、"les chats"なの?という疑問も湧きますが、そもそも日本語では冠詞がなくてもなんとかなってるんだし、きっとそんなに困らないんでしょう。(って言ってると、文法的に正しいフランス語から遠ざかるのかもしれませんが…)

ところで、デュオリンゴの実践翻訳の課題文はWikipediaの文章が多いのですが、どうやらこのことも、フランス語の定冠詞をやたら眼にすることと関係なくもなさそう。というのは、フランス語では、日付などの時間国などの場所、で定冠詞がやたらと使われるから。

About.comの解説で、なんだか英語とフランス語の定冠詞はばっちり!な気分にいったんはなったのですが、手元にある英文法の本、「英文法解説」に例外的用法がたくさん載っていて、再びわたしの頭の中は混沌としてきました。

まあ、言語は生き物だから、文法でそう簡単に説明できないよね…。でも文法を意識しつつ、その言語を使ってたら、何か見えてくること、あるのかも?


英文法解説

2014年5月27日火曜日

デュオリンゴで仏語英訳体験! experiencing translation from French into English with Duolingo!

語学学習サイト、デュオリンゴ(Duolingo)を始めて今日で29日目。がんばって続けてる、というより「はまってしまった」という感じです。

β版の日英コースのほうはひとまず置いておくことにして、現在はもっぱら英語話者のためのフランス語コースを攻略中。昨日、レベル10になったのですが、日英コースのレベル10とはかなり充実度が違います。やっぱりこの、とにかく翻訳課題(Real world practice)を大量にこなすという体験は言語的にも豊かで学習意欲も高まる気が。

しかも。デュオリンゴは単なる語学学習サイトではなくて、レッスンのための翻訳が、実は翻訳ボランティアにもなる、という仕組み。でもそんな、例えば私みたいに、ほんとは英語話者じゃない人が、たかだか500語とかのボキャブラリーしかないのに、文法書や辞書片手にえっちらおっちら訳した英文で役に立つの?という心配は無用。

実際に訳してみればわかることですが、ある人の翻訳文が単にそのまま最終稿になるわけでなくて、まず何人ものチェックが入る事になってます。良い悪いの判断はもちろん、別の翻訳例を提案したり、複数の翻訳例の中からベストだと思うものを選んだり、と、多くの人の手というか、チェックを通過したのちに、コミュニティとして翻訳確定とした文章が出来上がります。

で、ここがデュオリンゴのすごいところなのですが、同じ一つの文章をチェックする人の数がものすごく多い。「訳してはみたけど自信ないなあ」という文章には、たいてい次の日に修正案が届きます。しかもその修正してくれた人のフランス語レベル(&翻訳レベル)がものすごく高かったりするのでリスペクトしつつ「ありがとうございまーす!」と心の中で叫び、さらに学習意欲が高まるという好循環。

これがクラウドソーシング(crowdsourcing)ってやつなのか、というのはとにかくこの、フランス語の一文を通過する人の多さと速さとクオリティで実感するのでした。現在、わたしと同じく「英語から学ぶフランス語」をやってる人は実に906万人。パソコンやiphoneの前で淡々と課題をこなしてるわけですが、なんかこう、みんなで大きな(言語の?)壁をコツコツ壊してるような気が。作業してる時は一人なんだけど、次の日行ってみたら、散らかしたはずの石が片付けられてて、壁の高さもそういえば低くなってて、あ、ひとりじゃないんだ、みんなの作業だ、って実感するという、そんな感じでしょうか。

ところで、このコースをやってみて、私のフランス語、英語がどうなったかというと、まずフランス語にはすこし慣れてきた気がします。意味がわからなくても、文の構造が見えることがあって、臆する気持ちが減って来たといいますか。リスニングのほうはやっぱりまだまだ手強く、音がつながりまくるフランス語を分解するのがムズカシイ。でもフランス語は英語より文字と音の対応が規則的なので、音で綴りがわかることもしばしば。

一方の英語は、まだ感覚的に文法の正しさや文の美しさを感じるには到らず、でもそれを、他の人の訳例から頭で理解しようとしてるところ。そして改めて、wikipediaの英語の文章をしげしげと眺め、そのフォーマットと文例を読んでは訳出の参考にするようになりました。

そして当然ながら、仏英翻訳をやるには、仏英の辞書があると便利、なのですが手持ちのものがないので、MacOSについてる仏仏辞典に英英辞典をチェック、それを手持ちの英和、和英、仏和、和仏辞典と比べてえっちらおっちら訳してます。一応、オンライン辞書の、WordReference.Comには英仏、仏英辞典があって、簡単な調べものには便利ですが、これだけだと不十分。やっぱり一冊でいいから、仏英辞書、欲しいなあ、っていうか、ほんとはデュオリンゴに「日本語話者のためのフランス語」コース、あるといいんだけど…。

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デュオリンゴの日英コースを制覇? conquered the English for Japanese speaker course?

2014年5月21日水曜日

デュオリンゴの日英コースを制覇? conquered the English for Japanese speaker course?

語学学習サイト、デュオリンゴ(Duolingo)の日英コース、なんとなく続けてるうちに、とうとうスキルツリーの最後までたどり着いてしまいました。これがゲームなら最終ステージをクリア!ってことになるようで、一応トロフィーのようなものが登場。笑

この日英コースがβ版ということはさておき、ここまでで何が学べたかというと、英語の基本文法と基礎的語彙を使って翻訳と英作文をしまくる反射神経のようなものを鍛えたことになるのかもしれません。



ちなみに、このトロフィーのマークをクリックすると、次のようなメッセージが出て来ます。


言葉の強さを満タンに」というのは全くそのとおりで、語学は使わないとどんどん忘れるし、反射神経もにぶりますが、デュオリンゴではトロフィーが出たあとでも時間がたつとどんどん「言葉の強さ」が減っていきます。

そしてこの「言葉の強さ」というのは、スキルツリーの課題とは別に、デュオリンゴ内での翻訳作業でも強まるようになっているようですが、残念ながら現在β版の日英コースでは翻訳課題がまだひとつしかなく、強めようがありません。これは待つしかないですね。

英仏コースだと、スキルツリーのかなり早い時期から次々と翻訳課題が降ってきます。課題文は今のところフランス語版ウィキペディアが中心で、それを英語に訳します。

といっても、文法はまだ現在形しかやってないし、語彙も500語くらいだし、よちよち歩きもいいところなのですが、それでも「あなたはこの記事の25%を訳せます!」という感じで課題文が紹介されるので、1文でも2文でも、辞書をひきながら翻訳、あるいは、他の人が既に訳した文章をチェックすることになります。

で、少しでも翻訳をすると、その同じ翻訳文を見た別の人が、それを評価したり、翻訳し直したりします。評価票が100以上となり、好評価票の割合が少なくとも90%になると、翻訳の段(tier)がひとつ上がることになるそう。また、他の人に翻訳文を直してもらうと、すぐに通知が来て、どこを直してもらったのかがよおくわかります。これは英作文の勉強にもなってなかなか面白いです。


思うに、デュオリンゴのスキルツリーはグロービッシュ(globish)にも似て、その言語の基本を学ぶのになかなかいいシステムだと思います。日英コースで学んだ単語数は現在1397語ですから、グロービッシュの1500語と近いところにあります。

基本を学んだ後はもっと話して聞いて書いて、読んで、どんどん慣れながらその言語の語彙を増やしていけばよいわけですが、デュオリンゴの場合はこの応用編を「翻訳」で体験するシステム。まだ日英コースではこの部分は整っていませんが、英仏コースの体験からすると、今後のデュオリンゴにはかなり期待できそうです。

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2014年5月15日木曜日

デュオリンゴに夢中。 I'm absorbed in Duolingo.



ここしばらくDuolingoという無料言語学習サイトにはまってます。言語学習は記憶に反復、地道にコツコツ筋トレするようなところがありますが、そこにゲーム性をうまく取り入れ、楽しく続けられるようにデザインされているシステム。よくできてるなあと、最初は使いながら惚れ惚れしてました。

そしてなんとなく続けて今日で17日目。もともとはフランス語学習がメインだったのですが、日本語で学ぶフランス語というコースはなかったので、英語で学ぶフランス語のコースを選択しました。

ちなみに英語話者のためには、たくさんのコースが用意されています。スペイン語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ポルトガル語、に加え、ドイツ語、アイルランド語、ロシア語、トルコ語、ポーランド語、ハンガリー語、ルーマニア語が構築途中。英語さえある程度できれば、この先かなりの言葉をこのシステムで学べる!と夢がひろがります。




今のところ、日本語話者のためにはβ版の英語(アメリカ英語)コースがあるのみです。一応、こっちもやってみようと始めてみたところ、思いがけず、中の方々のがんばりを体感することとなりました。



デュオリンゴでは基本、二つの言語間の翻訳トレーニングをこれでもか、と繰り返します。日英間なら、英文和訳、和文英訳が基本。つまり、正解はひとつではないことがほとんどです。

たとえば上の例のように、"I am a woman."を日本語に訳すという単純な課題でも、「私は女です。」「わたしは女です。」「私は女性です。」「私は女。」「女です。」などなど、漢字仮名問題に、文体、主語の省略など、様々な翻訳例が考えられますが、現在β版である、日本語で学ぶアメリカ英語にはこうした自由度というか、正解とする翻訳例の数がまだまだ足りません。

というわけで現在のところこの日英コースでは、自分の答えが正しいはずなのに不正解になった!という場合は、画面左下にある「問題を報告する」をクリックして、「私の答えも正しいはずです。」をチェックしてください、となってます。


で、ある時から「いやこの答えは正解にしないとだめだと思う。」という場合に限り、この方法で問題を報告したところ、毎日のように中の方々のレスポンスが届くようになりました。毎日かなりの数届くのでこちらもやる気になって、たくさん翻訳例を報告するぞ♪とますますこの日英コースにはまることに。

で、時々英仏コースに戻ると、レベルのせいか、言語の特性なのか、わりと答えがすっきり決まる気持ちよさがあるのですが、もうちょっと説明が欲しいな、というときに、ひとつひとつの問題の下の「文章について話し合う」のところをみてみると、時には100を超える投稿というか議論がつくされた跡があって少しでも読んでみると勉強になるのでした。それにしても中の人、どれだけがんばってるんだろう、と、思いつつ。

2014年4月26日土曜日

伊坂幸太郎『魔王』『モダンタイムス』『ゴールデンスランバー』


翻訳の勉強をやってみればみるほど思うのは、自分のボキャブラリーは乏しいってこと。辞書をひけばひくほど思うのは、漢字って難しいこと。というか、かなり忘れてて、書けない、読めないっ、キィー!と自分が猿になったかのような(ユアグローの短編の余韻)トホホ感が。

というわけで、日本語を補充してみることにしました。で、何を読もうかと思ったときに出会ったのが、柴田元幸先生のこのアドバイス。
Q.翻訳家を目指す人へのアドバイス

日本語でも英語でも、好きなものをたくさん読むことに尽きるのではないでしょうか。好きでもないことを努力しても、言葉については身に付かないと思うので。面白い本を見つけるには、最近はインターネットでずいぶん情報が得られますが、結局もともと自分が興味を持っているものしか見つからない気がする。できれば現地の書店に行って、あまり知られていない良い本を、手に取りながら探すのが理想ですね。(言語をほどき紡ぎなおす者たち───海外文学界の第一線で活躍する翻訳家9名の仕事場を訪ねて vol.1 <柴田元幸/きむふな/野崎歓> - webDICE
好きなものをたくさん読む。これって当たり前な感じもしますが、じゃあさて、どんな文章が好きか、例えば小説だったらどの作家が好き?と自問してみると、難しい。どうも、昨年TOEICの勉強をしようとした時点で更新がとまっています。

とにかく、よし、読むぞ!と図書館へ行き、いつもチェックしているよしもとばななの棚をチェック。彼女の作品は図書館に入ってない新作をのぞいて、どうやら全部読んでることを確認。石田衣良と山田詠美は、5年ほど前までは好きだったはずが、なんかずれてきた感あり。三浦しをんは『舟を編む』も『神去なあなあ日常』もよかった要注目の作家さん。大事にちょっとずつ読んでいくつもり。池澤夏樹は好みの作家さんで、読んでない新刊がいくつかあることを確認したものの、今は気分じゃないなあ。

で、伊坂幸太郎のところで、ああ、と思いました。この人の小説、大好きなのに、読んでない作品が大量にあります。うーん、どれから読もうか、と迷ってるうちに、エッセイを発見したのでまずはそちらから。『3652―伊坂幸太郎エッセイ集』はなんと、この作家さんの唯一のエッセイなのでした。緻密な構成の小説を書くこの方、実はエッセイは苦手、だそうで、無理矢理書いてる感がファンにはかえってたまりません。

どの小説から読もうか迷うあまり、まずこの人の作品を発行順に並べてみることにして、ブクログでまとめをつくってみました。

伊坂幸太郎の小説

アヒルと鴨のコインロッカー』を読まずに映画で観てしまったのをのぞくと、内容を知らない作品で一番新しいのは『魔王』です。

一気に読みました。ちなみに、作者もこの作品は一気に書いたそうです。超能力を持った個人と社会、あるいは国家権力のおはなし。時代の空気感を書くのがこの人はほんとうまいなあと思います。

あまりに面白かったので、この作品への他の人のレビューをブクログで読んでいると、『モダンタイムス』が続編にあたるということがわかりました。ので、次は『モダンタイムス』を読みました。最初は図書館の本で。続きはiBooksで。

これも個人と大きな流れの話ですが、時代は近未来。システムをつくってるつもりが、システムに狙われるようになったシステムエンジニアのお話。ちっとも未来な感じがしないなあ、と、ケチをつけつつも、またもや一気読み。図書館で借りればよかったのに借りずに帰って、でも読みたくなって、iBooksを利用してしまいました。多少、残像が残る感じがありましたが、先が知りたくなって、読んでしまいました。連載ものだったからこそ、そういう読み方があっていたのかもしれません。

『モダンタイムス』と同時期に書かれた、そして似たテーマの書き下ろし作品が『ゴールデンスランバー』。首相暗殺の濡れ衣を着せられた男が逃げて逃げて逃げまくるお話、というと、アメリカ映画にありそうなテーマですが、伊坂幸太郎の手にかかると、なにかほんわかと仙台の街のほのぼのとした人間関係の空気感がただよいます。巨大な監視システムの陰謀をかいくぐって個人を助けるのは、学生時代の友情。生身の人と人との信頼関係。味のある人物がたくさん出てきます。ちょっと切ないラストでした。

ああ、面白かった!小説は生きる活力になりますね。

ところで、英語で読む村上春樹、ならぬ、英語で読む伊坂幸太郎、ができたら素敵だなあと、ざっと調べてみたところ、英訳されているのは『ゴールデンスランバー』だけでした。英文版のタイトルは、"Remote Control"となってます。

(英文版) ゴールデンスランバー - Remote Control

2014年4月25日金曜日

バリー・ユアグロー『ハッピー・バースデイ』 "HAPPY BIRTHDAY" by Barry Yourgrau

翻訳教室 』に続いて、『柴田元幸ハイブ・リット』を淡々と訳すことにして、というのはすでに書きましたが、とにかくまずは最初の作品を訳してみました。バリー・ユアグローという作家の超短編で、"HAPPY BIRTHDAY"。

『柴田元幸ハイブ・リット』では、それぞれの作品の前に、柴田先生による短い作品紹介があります。で、今回の場合は、バリー・ユアグローの超短編はほとんど全部現在形で書かれていること、現在形の語りは一般的に過去形に比べて先行きが見えない感覚が強まるけれども、バリー・ユアグローの現在形は一瞬先にはどんなことだって起きうる、夢の世界と直結した現在形であること、など、とにかく「現在形」について書かれています。

が、ぼおっとそこをななめ読みして"HAPPY BIRTHDAY"の英文和訳をはじめ、物語に夢中になってしまったわたしは1パラグラフ訳してからその英文が全部現在形で書かれていることに、でも訳文は、全部過去形にしてしまったことに、気がつきました。この内容なら、普通は過去形だよね、となんとなく過去形にしてしまったことが、我ながら恐ろしいです。

気を取り直して現在形に直してみると、物語の緊迫感というか、ドキドキワクワク感がぐぐっと高まったのがよくわかって驚きました。過去形だと、
一匹の猿がバースディ・パーティを開こうと思い立った。ケーキやカラフルな帽子や騒々しい鳴り物がある本物のパーティだ。動物園にやって来る子供たちがいつも自慢しているようなバーティを開きたかった。ほかの猿たちは大笑いした。
「バースディ・パーティーだって?」と、猿たちは素っ頓狂な声を上げた。「ばかかおまえ?自分が猿だってこと忘れたのか?」
と、よくある子ども向けの動物のお話、な感じですが、これを現在形にすると、
一匹の猿がバースディ・パーティを開こうと思い立つ。ケーキやカラフルな帽子や騒々しい鳴り物がある本物のパーティだ。動物園にやって来る子供たちがいつも自慢しているようなバーティを開きたい。ほかの猿たちは大笑いする。
「バースディ・パーティーだって?」と、猿たちは素っ頓狂な声を上げる。「ばかかおまえ?自分が猿だってこと忘れたのか?」
と、なんだか脚本を読んでるような感じというか、自分も物語に参加しているような感じがでてきます。

で、もちろん作者はこの現在形の効果をよくわかっていて、物語の最後には読者も登場!?することに。
というわけで猿は悲しいし、私も悲しいし、あなたも悲しい。
訳し終わり、あー、わたしも悲しいことにされちゃったよ、バナナでも食べようかしら、なんて気持ちになったところで、そう、これはCDブックだし、と、作者の声というか、朗読を聴いてみると、バリー・ユアグローがぐっと身近に。一緒にみんなで悲しくなってオシマイって、洒落てます。

読み物としては、この超短編、もちろん短いけど、朗読で聴くにはいい長さかも。大人のための絵本ならぬ、大人のための朗読劇です。


NASTYbook
たちの悪い話

2014年4月18日金曜日

柴田元幸編・訳『柴田元幸ハイブ・リット』


この一ヶ月ほど、平日は毎日1時間づつ、柴田先生(一度お会いしただけですが、こうよぶことにしました)の『翻訳教室』の課題を訳してました。起きてすぐ珈琲を飲みながら、ぼおおっとした頭で辞書をひき、英語も日本語も紙に鉛筆でコツコツ書き込みます。面倒といえばこの上なく面倒な作業だったはずですが、一ヶ月も経過すると習慣になるらしく(というのは、どこかの心理学の先生も言ってたはず)、課題を全部訳し終えてしまった今日の寝起きはなんだか物足りなく、また、この種の禁断症状がくるだろうなあと予測もしていたのでしばらく前から次の課題を探してました。

翻訳をもっと身につけたい、という目的ももちろんあって、じゃあ、ニュース翻訳とか別の分野に挑戦してみようかとも思いましたが、調べてみると、柴田先生の翻訳書はポール・オースター以外にもたくさんあり、アンソロジーになってたり講義形式になってたり、するものもちらほら。

短めの文章を訳して、柴田先生訳とつきあわせるのがいいかも、と、選んでみると、『柴田元幸ハイブ・リット』と『生半可版 英米小説演習』あたりがよさそうだったのでどちらも入手。このうち、『柴田元幸ハイブ・リット』は複数の作家の文章と柴田先生訳の文章が見開きになっていて、しかも、作者が自分の作品を朗読したCDがついてます。ちなみに、出版社はアルク。小説が音楽だとしたら、このCDは作曲者による演奏みたいなものといえるかも、な、なかなか貴重な音源です。

英語教材としては、読んでもよし、聴いてもよし、音読してもよし。そしてもちろん、翻訳して柴田先生の訳と比較して味わってもよし。収録作家は、Barry Yourgrau, Rebecca Brown, Kelly Link, Stuart Dybek, Steven Millhauser, Paul Austerです。オースターファンのわたしとしては、オーギー・レンのクリスマス・ストーリーの朗読が作者の声で聴けて、しかも柴田先生訳が読めるなんて!とうっきゃあな喜びに満ちた本です。といっても、声を聴くのは最後のおたのしみにとっておくことにして、まずは翻訳翻訳。

翻訳教室 (朝日文庫)
生半可版 英米小説演習(朝日文庫)

2014年4月17日木曜日

レベッカ・ブラウン "Heaven" を和訳してみた。 tried to translate "Heaven" by Rebecca Brown into English.


  ちびちびと続けてきた『翻訳教室』、とうとう最後の課題になってしまいました。レベッカ・ブラウンの『若かった日々』という本の中から、"Heaven"。

「私」の想像する天国は二つあって、ひとつには女性が、もうひとつには男性が登場。で、実はこの二人は「私」の両親の若い頃の姿で、と、シンプルな文章で情景と人物の描写が続きます。そして最後に「私」の願いが仮定法で語られて終わり。シンプルな文章が口語的に続いた場合、そのリズム感も含めてどう訳すのかを考えさせられ、で、仮定法の日本語訳は難しいなあ、と実感したところで終わりました。

難しい単語は全く出て来ないし、文法的にも単純で、英語のままただ読むんだったら読み流してしまいそうな文章ですが、翻訳してみると、ぐっと味わいが出て来るし、あれこれ工夫のしがいがあるんだよ、と教えられた感じです。翻訳は英語の理解だけでなくて、日本語力だというのも、『翻訳教室』の課題をこなすにつれ、身にしみてよくわかるようになりました。こういう時、日本語だとなんていうんだろう、なんていうのが一般的なんだろう、と、よく考えるようになりました。

それと同時に、こういう場合、英語だと他にどんな表現があるのかな、とか、あえてこの表現を選んだ理由は何なんだろうなあ?と考えるようにもなりました。そのあたりの連想がすっと出て来るようになると、英文の特徴を活かした日本語文になるんだろうなあと。

とまあ、今回は、『翻訳教室』終わっちゃう!、というややセンチメンタルな気持ちがまさってしまい、レベッカ・ブラウンの文章にはいまひとつ入り込めなかった感があります。でもこの、読んでても水のようにすーっと通り抜けていってしまうのが、この人の文章の特徴なのかも。ちなみに、柴田先生のレベッカ・ブラウン紹介文は次のようになってます。

レベッカ・ブラウン Rebecca Brown (1956-)
 男女間・女女間の烈しい愛を幻想的に描いた作品にせよ、エイズ患者や自身の母の看護体験に根ざした作品にせよ、ほとんど呪文のようにシンプルな文章で読み手を魅了する作家。作品にAnnie Oakley's Girl(City Lights, 1993)など;邦訳に『体の贈り物』(柴田元幸訳、新潮文庫)など。


若かった日々

The End of Youth

2014年4月14日月曜日

小説と音楽 novels and music

最近ずっと、好きな小説はなぜ好きなんだろう、好きな翻訳はなぜ好きなんだろう、というようなことを考えていたところ、次のような文章に出会って、そっか、結局は音かも、とかなり納得しました。
最近、思うのですが、「映画と漫画」は映像を「見せてしまう」という点で同じジャンルですが、そういう意味で言うと、「小説」は「音楽」の仲間ではないでしょうか?  映像はないので、自分で想像するしかありません。言葉によってイメージが喚起されて、リズムやテンポを身体感覚で味わう、という点で、同じような気がします。書かれている(もしくは歌われている)テーマなんてどうでもいいんです。読んで(聴いて)、ああ気持ちよかった、と思えるものが最高なんじゃないでしょうか。(伊坂幸太郎『3652』p.49)
小説は音で楽しむ、というのは、音の好みはもちろん、もしかすると個人差があって、テーマや意味がやっぱり重要、っていう人も中にはいるのかもしれない、と想像しますが、すくなくともわたしはかなり音重視な楽しみ方をしているような気がします。というのは、音楽と小説はなかなか一緒にたのしめないし、音楽を聴きながら文章を書く、というのも苦手。

『翻訳教室』での柴田先生のコメントを読んでると、かなりこの「音」が重視されているのがよくわかります。意味を正確に訳すのはもちろん、原文のリズムやテンポも再現しようとする翻訳。小説が楽譜だとしたら、翻訳家は外国語の音のルールに従ってその小説をアレンジする、編曲者のようなものといえるかもしれません。

んー、面白い。そしてムズカシイ。

翻訳教室 (朝日文庫)

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