2013年6月3日月曜日

古代ローマの暦 Roman calender

3月はじまりの古代ローマの暦ってどんな暦だったのかな?当時の人々はどんな生活を送ってたんだろう?と気になったのですこし調べてみたら面白かったので紹介します。ある物事を表す言葉とそのことについての歴史ってリンクしてるんだなあと、しみじみする事例でした。

まず、古代ローマ最初の暦は、ロムルス暦(Calendar of Romulus)。紀元前753年にローマを建国したと考えられている王、ロムルス(Romulus)の名前にちなんでます。この暦はなんと、1年は10ヶ月で304日、年の初めは、春めいてきた日に王が新年を宣言するという、おおらかなものだったようです。

で、その10ヶ月の名前はというと、
  1. Martius
  2. Aprilis
  3. Maius
  4. Junius
  5. Quintilis
  6. Sextilis
  7. Septembris
  8. Octobris
  9. Novembris
  10. Decembris
です。ついにこのブログにもラテン語が登場!なのですが、お気づきのように、ここでもう、英語の3月から12月の表現にかなり似てます。そして、英語の"April"の語源とされる"Aprilis"は、この時点でもう登場。

その後、紀元前713年に、ロヌルスの次のローマ国王、ヌマ・ポンピウス(Numa Pompilius)が改暦を行い、ロムルス暦の10ヶ月に加え、"Januarius"と"Februarius"を追加。これで一年は12ヶ月、355日になりました。

さらにその後、紀元前45年1月1日に、ローマの政治家で軍人、文筆家でもあるユリウス・カエサル(Julius Caesar)が、改暦を実施。一年は平均365.25日に。と書くと、単純に暦の精度が上がってるように聞こえますが、実際には、政治的(宗教的?)理由で、暦がずれにずれたため、改暦を行わざるをえなかったよう。この暦はユリウス暦(Julian calendar)とよばれるそうです。

で、ユリウス暦がはじまった翌年に、"Quintilis"の月名を、ユリウスの名前にちなんで、"Julius"とよぶようになったそう。また、ローマ帝国初代皇帝アウグストゥス(Augustus)は、この暦の運用上の誤りをただすため、数年間閏年を停止した後、紀元8年からは4年に1度、閏年を実施。このとき、"Sextilis"の月名を"Augustus"に変更。この時点で12ヶ月の名前は、
  • Januarius
  • Februarius
  • Martius
  • Aprilis
  • Maius
  • Junius
  • Julius
  • Augustus
  • Septembris
  • Octobris
  • Novembris
  • Decembris
となり、現在の英語の12ヶ月の名前の原型のようになってます。この後も月の名前を自分の名前と入れ替える国王がいたそうですが、それが現代まで継続せず、原型ともいえるこの形が英語の中に残ってるのが面白いところ。

ところで、新年がいつから"Januarius"はじまりになったのか、というのもなかなか混沌とした問題のようで、暦自体をとりいれても、新年はその地域の行事などにあわせて別の日に、と、この暦はある意味、おおらかというか、多様な使われ方をしていたよう。

最後に、ユリウス暦の12の月の名前(ラテン語)と、英語、フランス語の12の月の名前の対応を書いておきます。

ラテン語英語フランス語
JanuariusJanuaryjanvier
FebruariusFebruaryfévrier
MartiusMarchmars
AprilisAprilavril
MaiusMaymai
JuniusJunejuin
JuliusJulyjuillet
AugustusAugustaoût
SeptembrisSeptemberseptembre
OctobrisOctoberoctobre
NovembrisNovembernovembre
DecembrisDecemberdécembre

よく似てますね。言葉や国が変わっても、約2000年の時を経て月の名前にこんなに古代の名残があるなんて。特に、"Martius"など、古代ローマの神様にちなんだ名前の跡が、キリスト教を経ても残ってるというか、残されているのも面白いです。

そして、暦としては、ユリウス暦の改訂版というか、新暦であるグレゴリオ暦(Gregorian calendar)を取り入れた日本が現在、"January"や"janvier"の日本語訳をシンプルに「1月」としてる思い入れのなさというか、割り切り方も面白いのでした。

ちなみに、映画やドラマで暦の面白さを体感してみたい方には、韓国ドラマ『善徳女王』、日本の映画では『天地明察』がオススメです。どちらも、暦と権威の関係がよく描かれていて、当たり前がゆらいだ時の混乱がよくわかる物語でした。古代ローマはある意味、その混乱を鎮める方法を、かなり早い時期に会得した、その功績が現代にも続く文化(宗教的?)権威ともいえるのかもしれません。


善徳女王    天地明察

参考リンク
ローマ暦 - Wikipedia
ユリウス暦 - Wikipedia
古代ローマ- Wikipedia
Roman calendar - Wikipedia

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