まず、古代ローマ最初の暦は、ロムルス暦(Calendar of Romulus)。紀元前753年にローマを建国したと考えられている王、ロムルス(Romulus)の名前にちなんでます。この暦はなんと、1年は10ヶ月で304日、年の初めは、春めいてきた日に王が新年を宣言するという、おおらかなものだったようです。
で、その10ヶ月の名前はというと、
- Martius
- Aprilis
- Maius
- Junius
- Quintilis
- Sextilis
- Septembris
- Octobris
- Novembris
- Decembris
その後、紀元前713年に、ロヌルスの次のローマ国王、ヌマ・ポンピウス(Numa Pompilius)が改暦を行い、ロムルス暦の10ヶ月に加え、"Januarius"と"Februarius"を追加。これで一年は12ヶ月、355日になりました。
さらにその後、紀元前45年1月1日に、ローマの政治家で軍人、文筆家でもあるユリウス・カエサル(Julius Caesar)が、改暦を実施。一年は平均365.25日に。と書くと、単純に暦の精度が上がってるように聞こえますが、実際には、政治的(宗教的?)理由で、暦がずれにずれたため、改暦を行わざるをえなかったよう。この暦はユリウス暦(Julian calendar)とよばれるそうです。
で、ユリウス暦がはじまった翌年に、"Quintilis"の月名を、ユリウスの名前にちなんで、"Julius"とよぶようになったそう。また、ローマ帝国初代皇帝アウグストゥス(Augustus)は、この暦の運用上の誤りをただすため、数年間閏年を停止した後、紀元8年からは4年に1度、閏年を実施。このとき、"Sextilis"の月名を"Augustus"に変更。この時点で12ヶ月の名前は、
- Januarius
- Februarius
- Martius
- Aprilis
- Maius
- Junius
- Julius
- Augustus
- Septembris
- Octobris
- Novembris
- Decembris
ところで、新年がいつから"Januarius"はじまりになったのか、というのもなかなか混沌とした問題のようで、暦自体をとりいれても、新年はその地域の行事などにあわせて別の日に、と、この暦はある意味、おおらかというか、多様な使われ方をしていたよう。
最後に、ユリウス暦の12の月の名前(ラテン語)と、英語、フランス語の12の月の名前の対応を書いておきます。
ラテン語 | 英語 | フランス語 |
---|---|---|
Januarius | January | janvier |
Februarius | February | février |
Martius | March | mars |
Aprilis | April | avril |
Maius | May | mai |
Junius | June | juin |
Julius | July | juillet |
Augustus | August | août |
Septembris | September | septembre |
Octobris | October | octobre |
Novembris | November | novembre |
Decembris | December | décembre |
よく似てますね。言葉や国が変わっても、約2000年の時を経て月の名前にこんなに古代の名残があるなんて。特に、"Martius"など、古代ローマの神様にちなんだ名前の跡が、キリスト教を経ても残ってるというか、残されているのも面白いです。
そして、暦としては、ユリウス暦の改訂版というか、新暦であるグレゴリオ暦(Gregorian calendar)を取り入れた日本が現在、"January"や"janvier"の日本語訳をシンプルに「1月」としてる思い入れのなさというか、割り切り方も面白いのでした。
ちなみに、映画やドラマで暦の面白さを体感してみたい方には、韓国ドラマ『善徳女王
参考リンク
ローマ暦 - Wikipedia
ユリウス暦 - Wikipedia
古代ローマ- Wikipedia
Roman calendar - Wikipedia
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