2013年3月21日木曜日

グロービッシュと英語の違いって何? What are the differences between globish and English?

世界のグロービッシュ』、読了しました。基本、日本語訳で読みましたが、分かりにくいところはグロービッシュに戻って、ということもあり、ちょっと変わった読書体験でした。といっても、内容的にはすごく面白くて、覚えておきたいと思うことが結構ありました。非英語ネイティブが多い会議や、webサイトなどで世界の人に向けてのメッセージを英語で発信、という場合には、グロービッシュ的中庸と非言語コミュニケーションの活用が役に立ちそうな気がします。

さて。グロービッシュを英語の語学力に位置づけるなら一般に中級、具体的には、CEFR(Common European Framework of Reference for Languages; 欧州評議会による第二言語としての英語の状況対応力テスト)のカテゴリー"B1"にあたるそうで、この次のように定義されます。
Can understand the main points of clear standard input on familiar matters regularly encountered in work, school, leisure, etc. Can deal with most situations likely to arise whilst traveling in an area where the language is spoken.
Can produce simple connected text on topics, which are familiar, or of personal interest. Can describe experiences and events, dreams, hopes & ambitions and briefly give reasons and explanations for opinions and plans.
と、著者は書きつつも、グロービッシュを使う人はより上の"B2"レベルにも対応できるとしているので、だいたい、B1からB2というのを目安として考えるといいのかも。ちなみに、"B2"は次のように定義されます。
Can understand the main ideas of complex text on both concrete and abstract topics, including technical discussions in his/her field of specialization. Can interact with a degree of fluency and spontaneity that makes regular interaction with native speakers quite possible without strain for either party. Can produce clear, detailed get on a wide range of subjects and explain a viewpoint on a topical issue giving the advantages and disadvantages of various options.
要するに、専門分野の国際会議が英語で行われたときに、対応できる(話せるし、書ける、理解できる)ぐらいの英語力なのかも。

ちなみに、来年度のNHK語学講座もCEFRを意識してるようで、この基準に沿って英語講座紹介がなされています。また、英語力を測定して、結果をCEFRと比較できるようになってます。といっても、読んで聞くだけのテストで英語発信力まで測れるのかはかなり疑問ですが…。

そしてそもそも、グロービッシュと英語は違います。わたしが理解した限りでは、グロービッシュは一部の英語を材料にした別の言語というか、コミュニケーションツール。具体的には次の点が英語と異なるそう。
  1. 独自の名前をもつ、わかりあうための言語。
  2. 基本は1500語だが、次の4つの方法で語彙の拡張が可能。
    • 同じ単語を別の品詞として使う。
    • 単語を組み合わせる。
    • 単語に短い付け足し(接辞)をする。
    • 「句動詞(phrasal verbs)」を使う。
  3. 主に能動態を使う。
  4. 文章を短くする(15語以下に)。
  5. 必要な音の数は伝統的な英語より少ない。ただし、アクセントは重要。
  6. 体や手や顔を使って伝える。
  7. ユーモアや慣用句、たとえ話は慎重に。
  8. 自然言語のクローズド・システム。
つまり、文化としての英語、豊かな表現の手前のところで、シンプルにわかりやすく発信する。それがグロービッシュのよう。自然言語ではないので、英語を母語とする人も心構えと練習が必要になりそうです。英語を話せる人の場合、具体的には次のような点に気をつけるようにとのこと。
  1. 文を短くする。
  2. 単語をシンプルな方法で使う。
  3. 最も一般的な英単語に限る。
  4. ボディーランゲージやビジュアルを加えてコミュニケーションを補う。
これはもう、国際語としての英語と言っていいような気もしますが、この本の面白いところは、具体的な基準を示してそれを実行してみせたこと。「本」になる分量の文書としては、わかりにくさも感じますが、もう少し短い記事やスピーチだと、グロービッシュのよさが活きるのかも。そして国際会議の場であれば、参加者にこの基準をあらかじめ示すことで、より「わかりあえる」のかもしれないと可能性を感じます。

けど、グロービッシュに賛同している人ってどれぐらいいるんだろう?とamazonでのレビューをみてみると、通訳をつければすむじゃないか、という人から、大賛成!という人まで、意見がすばらしくばらついていて、しかも熱く語られているような…。

で、この本を読んだわたしは、というと、英語とグロービッシュで共通して重要とされている「句動詞(phrasal verbs)」の習得に励もうかと思ってます。英会話の練習をはじめた頃から大事だってわかってたけど、なぜか苦手な句動詞。グロービッシュの基本1500語の句動詞はたぶん、気が遠くなるほどたくさんあるはずですが…。こつこつ頑張ります(・e・)

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