
そのお店のピザはどちらかというと、もっちりタイプ。底面にはきれいな焼き色がつき、ピザの端はふんわりふくらんでこんがり色。そしてもちろん、熱々。食べながら、家でもまた作ろう!とやる気を高めたのでした。
さて、ここしばらく日本語と英語でピザのレシピをいくつかチェックしたのですが、レシピによって生地に使う粉、小麦粉(wheat flour)の種類が微妙に違っていたのが印象に残りました。具体的には、
- 強力粉(strong flour, bread flour, hard flour)
- 中力粉(all-purpose flour, medium-strength flour)
- 薄力粉(weak flour, wheat flour of low viscosity, soft flour)
- セモリナ粉(semolina)
などがあって(()内は和英辞典で調べた英訳))、英語での表現のほうが多様。そして、強力→中力→薄力という名前から感じられる順位は英語でも同じで、strong → medium-strength → weak と、力の表現に序列が。これはいったい何の強弱かというと、薄力粉の英語名に、"wheat flour of low viscosity"とあるように、粘り(viscosity)の強弱のことで、小麦粉に含まれるタンパク質(グリジアン、グルテニン)と形成されるグルテンの性質によって粘りに強弱がでるよう。
wikipediaによれば、強力粉は「タンパク質の割合が12%以上」のもので、焼くと硬い仕上がりになるので、洋菓子には向かないとあります。また英語圏の分類では"bread flour"に近いとも。でもあれ、英語のほうは、分類ももっと細かいのかも?と、wikipedia英語版の"Wheat flour"のところをみてみると、グルテンによる粘り分類については強弱をイントロでさっと紹介するのみで、小麦粉の種類については以下、実に13もの項目が。
- all-purpose or plain flour
- bleached flour
- bread flour or strong flour
- bromated flour
- cake flour
- graham flour
- instant flour
- pastry flour or cookie flour or cracker flour
- self-rising or self-raising flour
- sharp flour
- spelt flour
- tang flour or wheat starch
- atta flour
ざっと説明を読んだところ、何をつくるための粉なのか、どの小麦を使っているのか、タンパク質はどれぐらいか、また特定の目的のために薬品(agent)を使っているかどうか、などで種類が分かれるもよう。そして日本の中力粉は「タンパク質の割合が9%前後」、薄力粉は、「タンパク質の割合が8.5%以下」ですが、これは英語の、"all-purpose flour"(タンパク質の割合が9〜12%)や"cake flour"(タンパク質の割合が8〜10%)とはタンパク質含有量による定義・分類と重なりはするものの、まったく同じではありません。
つまり英語のレシピで料理をするときは、強力粉は"bread flour"ではないし、中力粉は"all-purpose flour"ではない。そして薄力粉は"weak flour"ではないけど、おおざっぱに代用を探すならこういう感じで、ぐらいの気持ちでいたほうがいいのかも。そして日本語のレシピで、強力粉に薄力粉や中力粉をまぜたものがあったのは英語のレシピに近づけようと工夫したのかも、などと思ったのでした。
ところで、なぜか英語版wikipediaには記載のなかったセモリナ粉(semolina)は、デュラム小麦(durum wheat)を粗くひいた粉で、強力粉よりもタンパク質が多く、グルテンが少ないそう。一般にはパスタ・クスクスの材料となります。ちなみに、英語の"semolina"は、イタリア語の"semola"に由来し、"semola"はラテン語の”simila”(穀粉)に由来するのだとか。
小麦粉というと、薄力粉のふわっとやわらかなイメージがありますが、昔はそうじゃなかったのかも。ローマ帝国の人の食べ物は?なんて好奇心も湧く調べものでした。
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