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2014年4月18日金曜日

柴田元幸編・訳『柴田元幸ハイブ・リット』


この一ヶ月ほど、平日は毎日1時間づつ、柴田先生(一度お会いしただけですが、こうよぶことにしました)の『翻訳教室』の課題を訳してました。起きてすぐ珈琲を飲みながら、ぼおおっとした頭で辞書をひき、英語も日本語も紙に鉛筆でコツコツ書き込みます。面倒といえばこの上なく面倒な作業だったはずですが、一ヶ月も経過すると習慣になるらしく(というのは、どこかの心理学の先生も言ってたはず)、課題を全部訳し終えてしまった今日の寝起きはなんだか物足りなく、また、この種の禁断症状がくるだろうなあと予測もしていたのでしばらく前から次の課題を探してました。

翻訳をもっと身につけたい、という目的ももちろんあって、じゃあ、ニュース翻訳とか別の分野に挑戦してみようかとも思いましたが、調べてみると、柴田先生の翻訳書はポール・オースター以外にもたくさんあり、アンソロジーになってたり講義形式になってたり、するものもちらほら。

短めの文章を訳して、柴田先生訳とつきあわせるのがいいかも、と、選んでみると、『柴田元幸ハイブ・リット』と『生半可版 英米小説演習』あたりがよさそうだったのでどちらも入手。このうち、『柴田元幸ハイブ・リット』は複数の作家の文章と柴田先生訳の文章が見開きになっていて、しかも、作者が自分の作品を朗読したCDがついてます。ちなみに、出版社はアルク。小説が音楽だとしたら、このCDは作曲者による演奏みたいなものといえるかも、な、なかなか貴重な音源です。

英語教材としては、読んでもよし、聴いてもよし、音読してもよし。そしてもちろん、翻訳して柴田先生の訳と比較して味わってもよし。収録作家は、Barry Yourgrau, Rebecca Brown, Kelly Link, Stuart Dybek, Steven Millhauser, Paul Austerです。オースターファンのわたしとしては、オーギー・レンのクリスマス・ストーリーの朗読が作者の声で聴けて、しかも柴田先生訳が読めるなんて!とうっきゃあな喜びに満ちた本です。といっても、声を聴くのは最後のおたのしみにとっておくことにして、まずは翻訳翻訳。

翻訳教室 (朝日文庫)
生半可版 英米小説演習(朝日文庫)

2014年4月17日木曜日

レベッカ・ブラウン "Heaven" を和訳してみた。 tried to translate "Heaven" by Rebecca Brown into English.


  ちびちびと続けてきた『翻訳教室』、とうとう最後の課題になってしまいました。レベッカ・ブラウンの『若かった日々』という本の中から、"Heaven"。

「私」の想像する天国は二つあって、ひとつには女性が、もうひとつには男性が登場。で、実はこの二人は「私」の両親の若い頃の姿で、と、シンプルな文章で情景と人物の描写が続きます。そして最後に「私」の願いが仮定法で語られて終わり。シンプルな文章が口語的に続いた場合、そのリズム感も含めてどう訳すのかを考えさせられ、で、仮定法の日本語訳は難しいなあ、と実感したところで終わりました。

難しい単語は全く出て来ないし、文法的にも単純で、英語のままただ読むんだったら読み流してしまいそうな文章ですが、翻訳してみると、ぐっと味わいが出て来るし、あれこれ工夫のしがいがあるんだよ、と教えられた感じです。翻訳は英語の理解だけでなくて、日本語力だというのも、『翻訳教室』の課題をこなすにつれ、身にしみてよくわかるようになりました。こういう時、日本語だとなんていうんだろう、なんていうのが一般的なんだろう、と、よく考えるようになりました。

それと同時に、こういう場合、英語だと他にどんな表現があるのかな、とか、あえてこの表現を選んだ理由は何なんだろうなあ?と考えるようにもなりました。そのあたりの連想がすっと出て来るようになると、英文の特徴を活かした日本語文になるんだろうなあと。

とまあ、今回は、『翻訳教室』終わっちゃう!、というややセンチメンタルな気持ちがまさってしまい、レベッカ・ブラウンの文章にはいまひとつ入り込めなかった感があります。でもこの、読んでても水のようにすーっと通り抜けていってしまうのが、この人の文章の特徴なのかも。ちなみに、柴田先生のレベッカ・ブラウン紹介文は次のようになってます。

レベッカ・ブラウン Rebecca Brown (1956-)
 男女間・女女間の烈しい愛を幻想的に描いた作品にせよ、エイズ患者や自身の母の看護体験に根ざした作品にせよ、ほとんど呪文のようにシンプルな文章で読み手を魅了する作家。作品にAnnie Oakley's Girl(City Lights, 1993)など;邦訳に『体の贈り物』(柴田元幸訳、新潮文庫)など。


若かった日々

The End of Youth

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